ユーザーレポート

サウンド・エンジニア、マイク・アダムズ氏とのロング・インタビュー

ローリングストーンズのチーフ・モニター・エンジニアである、マイク・アダムズ氏とのこのロング・インタビューは、センサフォニクスの創業者で社長のマイケル・サントゥッチとジャック・コントニーがローリングストーンズがツアーでシカゴに来た際にバックステージで収録したものです。

まず最初にマイク、自己紹介してくれますか?

生まれ育ったのはコロラド州で、エンジニアとしてのキャリアの始まりは1981年から始めたバイト時代からだね。デンバー出身のGreen Dogというバンドの仕事だった。今はノース・カロライナに住んでいるよ。
エンジニアとしての成長過程は、自分でも馬鹿げていたと思うほど、遠回りをしたと思っている。14歳のころからサウンド・エンジニアになるんだ、これしかない、と思っていたけど、その頃はサウンド・エンジニアの学校なんてなかったからね。だから、16歳になったころは、ナイトクラブに出入りしたりして、いい音を作っている人を探しては質問攻めにして、授業料の代わりに雑用を手伝ったりしていたんだ。18歳になったころにはデンバー中にブルースクラブや小さなロッククラブでミキシングをやるようになってたんだ。自分で言うのもなんだけど、たたき上げってわけで、ここまで来たんだ。

というと、テックの経験をせずに、最初からミキサーだったわけだ。珍しいね

そうだね、普通の人の逆のパターンさ。ミキシングはできたし、コンソールについては熟知していたけど、普通の人が知っている極々基本的なことはからっきし知らなかったんだ。たとえば、あんなに高いところにスピーカーをどうやって持ち上げるんだ、とかね。言ってみれば、絵は描けるけど、キャンバスがどういう具合にできているかは知らない絵描きのようなもんだね。だから、一度元に戻って基本を身に着けるのは結構恥ずかしかったよ。
でも、僕は幸運だったんだ。その後、この商売を始めて15年くらいしてから、SHOWCO社で働くようになったけど、そこで分かったのは、「自分はオーディオについて、体系的な知識が欠落している」ということだった。その会社の人たちは最高だったよ。僕は基礎知識が欠落していたけど、僕のもっている技術と引き換えにいろいろ教えてくれた。今でも彼らには感謝しているよ。

ローリング・ストーンズのツアーの仕事をするのは今回が初めてと聞いているけど、他にはどんなアーティストと仕事をしてきたのか聞かせてくれないか?

いいよ。Pantera, Guns N’ Roses, Luther Vandross, Third Eye Blind, Ozzfest, Black Sabbathもやったね。Kissも何年もやってたよ。あとはMotley CrueとかFear Factoryとかね。そんなとこかな。メタルとかポップが多くて、リズム・アンド・ブルースも少しやったかな。
今回のストーンズのツアーでは、センサフォニクスのイヤモニを使っている人が沢山いるね。
その通りだね。ほとんどはSensaphonics のProphonic 2XSだね。自分もいつもそれを使っているよ。
今現在ステージで使っているのは?
バンドの中では、ミック・ジャガーも持っているし、ベースのダリル・ジョーンズも使っているよ。バックボーカルのバーナード・ファウラーやリサ・フィッシャーも使っている。キーボード・プレイヤーで音楽監督のチャック・レベルもそうだね。あ、それからイヤモニじゃないけど、管楽器のセクションでは3,4人がER15のミュージシャン・イヤープラグを使ってるね。

新製品の3D Active Ambient システムを使っているのは?

ベースのダリル・ジョーンズが3Dを使っているね。バック・ボーカルのバーナード・ファウラーもそうだ。キーボードのチャック・レベルも持っているよ。

3Dについては、彼らの評価は?

チャック・レベルは本当に気に入っているね。バーナードは2 XSと3Dを言ったり来たりしているよ。その日の気分で履くスニーカーを選ぶみたいに、「今日は2 XSをつけたい気分だ」とか、「今夜は3Dにするか」といった具合にね。どっちみち、Sensaphonicsのファンだよ。
共通して言っているのは、ステージ環境がよりナチュラルな状態になったということだね。言い換えれば、以前は、左と右から音が来ていたけど、今は、左、右、それに前と後ろがあるということだね。それが3Dがアーティストにもたらす最大の恩恵だと思うね。耳だけじゃなく、頭全体で聞いているということかな。

このツアーでセンサフォニクスをしているアーティストがこんなに多いのは何故だと思いますか?

このツアーでは、主要なバンドメンバーを自分がミックスして、シンガーとキーボードと管楽器のミックスをジェイ・サマーズが担当しているんだ。リハを始めたころ、これまで使っていた他社のイヤモニが全部つまったでっかい箱を引き継いだんだけど、それまではそういう考え方だったんだね。でも、僕はセンサフォニクスの製品を圧倒的に信頼している。
もちろん、ストーンズのツアーでは僕とジェイは新参者だったから、最初は波風をたてないようにしていたけど、きっかけを見つけて、僕が最初に切り出したんだ。自分が信頼する製品だからね。多くのアーティストを乗り換えてくれたよ。最初にシカゴを訪れたのは2005年の10月だったけど、そのときにセンサフォニクスのマイケル・サントゥッチに現場まで来てもらって、各自のモニター環境なんかについてなんとなく話してもらったんだ。そのときに何人かはすぐにProphonic 2XSに乗り換えて、すぐにファンになったね。それからは、沢山の人にできる限り早くセンサフォニクスのイヤモニに乗り換えてもらったよ。

ミック・ジャガーはこの数年はイヤモニをしたり、しなかったりだけど、今は常につけているんでしょうか?

そのとおりだね。ミックが最初にイヤモニを試したときは、リハに入ってから3~4週間だったね。あまりにも大きな空間だっだから、それまではコロガシだけだったけどね。ある日突然、ミックは僕の方を向いてこう言ったよ、「ぼちぼちイヤモニをし始める時期かな、俺も。どうせツアーでつけるんだからな。」最初に2XSをつけ始めた頃は、通常は片耳だけしてたよ。でも、センサフォニクスのマイケル・サントゥッチと話してから学んだんだろうけど、「両耳ともするよ。これは気に入ってるし。」といってたね。それ以来両耳しているよ。こっちは助かるよね。そのほうがずっと効果としてはいいしね。

ミック・ジャガーがセンサフォニクスに変えたことは、あなたの仕事にどのような影響を与えましたか?

サウンドエンジニアの商売をしばらくしている人のほとんどは、スピーカーであれ、コンソールであれ、マイクであれ、音質的になんらかの「色」のついた道具をつかってきたはずなんだ。 僕が「色」というのは、周波数上の盛り上がりとか、音質的な「暗さ」とか「明るさ」ということさ。逆に言えば、「色」のついていない道具を使う場合には、自分が絵を描かなくちゃいけないということさ。特定の「色」をもった(カーブのついた)道具に頼れないからね。正直、エンジニアにとっては、これはちょっとビビるかもしれない。だけど、音楽的に言えば、はるかに優れたものができるはずだ。何故かと言うと、そこに存在しているものをそのままの状態で聞いているんだから。

あらゆる人のイヤモニのミックスをコントロールをしているからには、アーティスト用のミックスに加えて、そうしたインプットを自分の耳に入れてみてレファレンスチェックをするときはありますか?

当然だね。そのために今使っている特定のコンソールを選んだのさ。今使っているメインコンソールはMidas H4000で、サイドはMidas H3000だよ。ここんとこずっと使っているし、とても気に入っている。特徴の一つはスプリットキューの機能があって、ステレオでキューできるってことだね。だからA-Bシステムでキューを出して、イヤモニ用のフィードはキューボックスからいって、Bシステムはライブでウエッジにいくんだ。こういうシステムだから、どのウエッジ、だれのイヤモニにどんなミックスがいっているかは、いつでもチェックできるんだ。

さきほどからセンサフォニクスのイヤモニを「レファレンス」(基準)として使っているということだけど、そのことについてもう少し詳しく説明していただけますか?

サウンドエンジニアの商売をしばらくしている人のほとんどは、スピーカーであれ、コンソールであれ、マイクであれ、音質的になんらかの「色」のついた道具をつかってきたはずなんだ。 僕が「色」というのは、周波数上の盛り上がりとか、音質的な「暗さ」とか「明るさ」ということさ。逆に言えば、「色」のついていない道具を使う場合には、自分が絵を描かなくちゃいけないということさ。特定の「色」をもった(カーブのついた)道具に頼れないからね。正直、エンジニアにとっては、これはちょっとビビるかもしれない。だけど、音楽的に言えば、はるかに優れたものができるはずだ。何故かと言うと、そこに存在しているものをそのままの状態で聞いているんだから。

イヤモニのミックスを、納得のいくものにするのは、かなりやっかいなのかな?

いや、全然やっかいじゃないね。何故かと言うと、センサフォニクスの音質は、レベルの高いウエッジとほとんど似ているからね。だから自分にとっては、いつものミックスの技術を使うだけのことだよ。

センサフォニクスを最初に知ったのはいつ?

共通の知人だった、ハウス・エンジニアのグレッグ・プライスを通じてだったよ。グレッグとはOzzy Osbourneの仕事で一緒だったんだけど、グレッグは本当に「科学者」みたいなやつで、何事も理論の裏づけなしにしないやつなんだ。自分でリサーチした結果、サンサフォニクスに行き着いたんだと思うよ。ある日、Ozzy Osbourneのショーのバックステージでマイケル・サントゥッチに紹介されたんだ。そして彼にはこう言われたよ。「もうそろそろ馬鹿なことはやめて、ここの製品を使い始めることだな」ってね。その忠告を聞いてよかったと思っているよ。

他のブランドのイヤホンを使ったことはありますよね?

勿論、全部使ったさ。例外はあるけど、ほとんどの製品はまあまあのレベルだとは思うよ。でも、センサの製品には「科学」の裏づけがあるんだ。センサフォニクスのProphonic 2XSは、音楽的に「正確な基準」としては他のどの製品よりも優れている。そして、その快適なフィット感は他の製品には無いものだね。科学的に優れているし、なんといっても最終的には、他のものよりも音が良いということにつきるね。

最終的な判断は「音質」ですか?

最初はそこから始まるんだ。言い換えれば、最初の質問は「一番音の良い製品かどうか」ということだね。次の問題は信頼性があるかどうか、だね。いつも修理でもどっているのなら使わないね。この2点をクリアしていれば、他の観点からテストするよ。イヤモニだったら、「快適性」が3番目にくるだろうね。センサフォニクスはこれら全てのニーズを満たしているよ。他の製品を使う理由は、自分としては見当たらないね。

「快適性」ということだけど。。。

個人的にはいろんなバンドで、時間の長いショーをこなしてきたよ。サウンドチェックも結構時間かけるしね。大事だからね。自分の耳にそれだけ長い時間何かを突っ込んでいるからには、快適じゃなけりゃならないよね。快適じゃないと。。。やってらんないよね。だから僕の場合には、カスタムで、それもシリコンだということが大切だ。そういう意味でも、センサフォニクスだけなんだ。イヤモニから音が出ていなければ、着用しているのを忘れてしまうかもしれないね。一日中着用していたって、不快感はないだろうね。(訳者注:あくまで快適だということを強調したいための発言であって、聴力保護の観点からは一日中音楽を聴くということは勧められません。)

ローリング・ストーンズのツアーでは、イヤモニ用にアンビエントマイクは立てていますか?

勿論。このツアーでのステージは、あまりにも馬鹿デカイんで、ミックのためにバーチャルな仕掛けをしているんだ。ミックはネコみたいにそこら中を駆け回るから、どうにか自然に聞こえるように、デッキの前に6つのオーディエンスマイクを立てて、フロント・オブ・ハウスにも、もう4本立ててあるよ。それらをゾーンに分けて、全部パンしてあるから、ミックの耳にはバンドのステレオが入ったまま、自分の前にいる人たちの声を聞くことができる。曲がAngieとかWild Horsesとか、ソローじゃない限り、曲の間はオンにしておかないけど、スタジアムの中で、これは入れたほうが良いと思うような環境音があれば、ミックが聞こえるようによけいに音量をあげる場合もあるよ。

イヤモニをつけている人は、どのくらいの音量で使っているのかな?

測定したときには確か平均で83デシベルだったかな。とてもリーズナブルな範囲の音量だね。

ウエッジはどう?

ウエッジ本体のまん前で測定したときには116デシベル。5フィート離れた位置、つまり演奏者の頭の位置では104~105くらいだったと思う。だから、イヤモニの方がはるかに安全だね。

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