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イヤモニの現在地

よくある質問と回答

センサフォニクスは音質&安全性で選ばれています。

イヤーモニターが欧米で普及し始めたのは1980年代の後半からです。日本では最近ではかなりのアーティストがイヤモニをしている姿を見かけますが、正しいイヤモニの選び方がまだまだ理解されていないのが実情です。
これまでアメリカでトップのカスタム・イヤーモニターのメーカーとして蓄積してきた情報をベースに、「イヤモニの正しい選び方と使い方」をQ&A形式で簡単にまとめましたので、ご参考になさってください。

遮音性について

なぜセンサフォニクスはそんなに遮音性にこだわるのですか?

本来モニターとは、「必要な音をクリアに聞かせる」ためのものですから、まず不必要な音を極力抑えることが重要になります。下図に示したように、耳に入ってくるノイズのレベルが大きければ、モニターとして必要な音は、それに負けないだけの音量が必要になってきます。音量を上げれば、それだけ騒音性難聴の危険性が高まります。せっかくイヤモニをしているのに、遮音性が劣る場合には、耳が爆音にさらされる危険を低減することはできませんし、クリアなモニタリングの障害となります。騒音性難聴の危険をできるだけ最小化したいという願いだけでなく、モニタリングの条件としても遮音性の高さは必須になります。

遮音性の高いイヤモニとは、どのようなものでしょうか?

遮音性の表示はデシベルで現されます。商品の表示のベースにはあまり統一性がなく、材料の物理的遮音性の数字をそのまま表示しているケース(たとえば60デシベルとか)なども見受けられます。数字が高い方が優秀な印象を与えられますから、各社の表示基準はばらばらです。センサフォニクスでは、あくまで耳に装着した際の、耳の外と耳の中の音量の差を測定した結果を表示しています。理想的な状態で26~27デシベルの遮音性を実現し、必要な音をよりクリアに聞こえる環境を実現しています。材料がソフトシリコンであることも重要な点です。人間はあごを動かすと耳穴の形状は変わりますから、その際にアクリル、ソフトプラスチックなどの硬めの材料ですとイヤモニと外耳道の間にすきまが生じる可能性が高く、遮音性が保てないケースもあります。ボーカルの方などが「歌っているときにパコパコ音がする」というのはこの現象です。現在では、ジャパン・ラボにてMove-InterLockという加工技術を開発し、よりパコ音を抑えることが可能となっています。

遮音性が高すぎて困ることはないのでしょうか?

遮音性が高いといっても、周囲の音が全く聞こえないということではありません。最初に装着すると、「わー、全く聞こえないですね。」という方もいますが、数日たつと慣れてきて、周囲の音も多少聞き取れるようになります(といっても、自動車などの機械の運転中にイヤモニをすることは危険なので避けてください)。ただし、遮音性の高い状況は、(役割などによって)それを好む人とそうでない人では意見が分かれます。ステージ上で人との会話や観客とのやりとりをする方にとっては疎外感が強くなるのは事実です。こうした状況に対処するために、オーディエンス・マイクの使い方が極めて重要になりますが、アメリカのアーティストの間からも、もう一歩すすんだ改善策が求められ、現在センサフォニクスでは、環境音とモニター音をナチュラルに共存させる次世代のイヤモニも開発されました。(3D Ambient)

耳型をとる時点で遮音性が決まる、ということを聞きましたが。

遮音性が決まるというところまでは言えませんが、よい耳型をとることは遮音性を実現するには重要です。まず外耳道の2番目のカーブまでの耳型を必要とするのはそのためです。これ以外にもセンサフォニクスでは耳栓をとる際にいくつかの注意事項を守っています。

他社製品に比べ、カナル部分が少し長い気がするのですが。

「センサフォニクスの製品はカナル部分(耳穴に入る部分)が他社より長い気がする」という疑問をお持ちの方もいらっしゃいますが、遮音性以外にも理由があります。それは「耳閉塞効果」(Occlusion effect)という感覚を最小化するためです。両耳の穴の中にご自分の指を入れて声を出してみてください。ご自分の声(特に低音成分)が頭蓋骨の中で強調されて聞こえると思います。指をさらに強く、奥まで差し込むと、そうした現象はやや低減します。これはボーカルの方にとっては非常に重要な点です。カナル部分を長めにする第2の理由がここにありますし、シリコンだからこそ、ここまで入れても痛みを伴う可能性が低いのです。

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安全性について

イヤモニには音量を絞るリミッターはついているのですか?

現在汎用のイヤモニにはリミッターがついているものはないはずです。(弊社製品にはリミッター機能がつきます。)したがって音量を管理するのはあくまでお使いになるユーザーご自身になります。しかし、センサフォニクスでは爆音を出す可能性のより低いスピーカーを選択していることは事実です。例えば、Prophonic2 XSではスペック上、最大109dBのスピーカーを使っています。他社のイヤモニの中には 140dB以上の音量を出してしまう可能性のあるものもあるようです。騒音性難聴の進行には個人差がありますが、音量と被爆時間によってその危険性が高まることは間違いありませんので、是非その点を意識しながらイヤモニを選び、使用時間などを管理して正しくお使いください。音量が大きければよい、という視点は大変危険です。

騒音性難聴の危険はイヤモニの方が高いのでは?

イヤモニは直接、鼓膜の近くに音を届ける形状であるために、イメージとしてはそう理解しがちですが、騒音性難聴の危険性はあくまで次の3つの要素で決まるといわれています。(1)さらされている大音量の平均値(音圧)、(2)ピークの騒音レベル、および(3)騒音にさらされている時間です。 いったん騒音性難聴になってしまうと、聴力はもとに戻りません。また、一気に聞こえなくなるわけでもなく、初めは主に高音部の聞き取りに問題が発生します。静かに進行し、気がついたら後戻りできないのが騒音性難聴の怖さです。騒音性難聴になる可能性には、個人差がありますが、下のような「平均値」を参考にして、音楽を聴く際の音量や時間を調整なさることを強くお勧めします。

騒音レベル OSHA EE
85 16時間 8時間
88 - 4時間
90 8時間 -
92 6時間 1時間
94 - -
95 4時間 -
97 3時間 30分
100 2時間 15分
105 1時間 -
110 30分 -
115 15分 -
120 7分 -

OSHA……米国、職場の安全と衛生に関する法令
EE……85dB基準の音圧エネルギーによる許容値

OSHAの数字は「100デシベルの音なら2時間まで聞いてよい」というようにも読み取れるかもしれませんが、これはあくまでそれ以外の時間帯で85デシベル以上の音を一切聞かないことが条件です。ですから、聴力を守るのは、正しいイヤモニを選ぶことに加え皆様の使い方次第ということになるわけです。

デシベル数ではピントこないのですが?

たしかにその通りですね。また、CDなどは、録音の際のレベルもまちまちなので、音量ツマミのどこらへんから具体的に危険かどうかは、断定的なことはいません。しかし、センサフォニクスの社内でのテストでは、音楽プレイーヤーなどは最大音量レベルの4分の3近くなると、「要注意」の音量になるケースが多いようです。これはあくまで目安ですが、音量レベルは真ん中から3分の2くらいまでを上限として、一日の視聴時間も2時間程度までにすることをお奨めします。

自分はまだ若いから大丈夫です・・・よね?

騒音性難聴になる可能性は年齢とは直接関係ありません。あくまで耳がさらされている音量と被爆時間の関数で決まるようです。騒音性難聴を意識しながら音楽と接するのはなんとなく「かっこよくない」ように聞こえますが、一度うしなった聴力は基本的に戻りませんので、予防の意識を持つことを強くお勧めします。職業的に大音量にさらされる人は耳栓などで常時保護すること、音楽を楽しむ時間の長い人は音量と時間に注意することが最大の予防になります。そのためにはまず聴力測定を受けて、自分の状況を把握されることをお勧めします。

イヤモニをしている人から「耳がかぶれる」ということを聞きましたが。

中にはそのようなケースにいたる製品もあるようですが、弊社の製品では現在のところ一例も報告はありません。使用する材料の安全性は充分検討した上で使用しています。

イヤモニをすると耳に痛みが生じるケースがあると聞きましたが。

遮音性を高めるためにピッタリとしたフィットを目指しますので、多少大きめにできてしまうケースも2~3%はあります。初めて装着した際の違和感は時間が経てば消えますが、1週間を過ぎて痛みがのこる場合にはフィットに問題のある可能性がありますので、ラボに戻すなどして形状、サイズの微調整をします。

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